No.2 令和5年10月1日から消費税において「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が導入されます。

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1.仕入税額控除(課税仕入れ等に係る消費税額を課税売上げに係る消費税額から控除すること)の適用を受けるためには、一定の様式の適格請求書等(6頁)の保存が必要になります。つまり、適格請求書等の保存がないと、課税仕入れ等に係る消費税額を控除できません(免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置有り16頁)。

例外として、適格請求書等の交付義務が免除される取引(13頁)、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合(15頁)があります。

課税仕入れ等に係る消費税額を控除できないということは、納税する消費税額がその分増えるということになります。加えて、支払った控除できない消費税分相当額は損金(必要経費)に算入され、利益がその分減ることになります。尚、簡易課税を選択している場合は、仕入税額控除におけるインボイスの保存の必要はありません。

2.適格請求書は、登録を受けた事業者のみが交付できます。(17頁)

登録は課税事業者が受けることができます。つまり、免税事業者が適格請求書を交付するためには、課税事業者を選択する必要があります。

登録を受けるためには、登録申請手続が必要です。インボイス制度開始の令和5年10月1日から登録を受けるためには、原則として令和5年3月31までに登録申請書を提出する必要があります。登録申請書の受付開始は、令和3年10月1日からです。尚、登録申請は紙でも、御社でもできますが、当事務所の電子申告でもできますので、当事務所で登録する場合は、その旨ご依頼ください。御社自身で登録した場合は、登録番号等をお知らせ下さい。

3.適格請求書発行事業者は、取引の相手方の求めに応じて、適格請求書を交付する義務があります。(10頁)

4.適格請求書を発行できない免税事業者からの仕入れは、消費税額が控除できないため、免税事業者はそれを理由に取引を断られたり、消費税額相当分の値引き要求される可能性があります。

免税事業者が、適格請求書発行事業者になるためには課税事業者になる必要があるため、当然、消費税の申告・納付義務が生じます。受け取る消費税額相当分、売上高は減少します。加えて、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除した金額を納税する必要が生じます(課税売上高5,000万円以下の事業者は、簡易課税制度を選択できます)。

5.課税事業者は、現在の支払先(主要な仕入先、外注先に限りません)の中に免税事業者がいないか確認する必要があります。免税事業者であれば、インボイス制度の概要を説明し、今後の対応を協議する必要があります。

6.御社の得意先(売り先)が一般消費者や免税事業者のみである場合は、インボイスを発行する必要はないので登録の必要はないと思われます(登録は基本的に任意です。)。適格請求書発行事業所でなくても課税事業者であれば仕入税額控除はできます。又簡易課税制度を採用している場合、インボイスの受領・保管は不要です。

※ 免税事業者とは基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、消費税の申告・納付義務が免除された事業者のこと。但し、課税売上高が1,000万円以下であっても、任意に課税事業者を選択した者を除く

国税庁発行「適格請求書等保存方式の概要」参照

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